「私、喉なんて乾いてないわ!」


「さようでございましたか、お嬢様。ご無礼をお許しください」


「いいわ、行きましょう」




ひょっとしたら、私は一人では生きていけないのかしら?


柏原がいなかったら、私はどうやって屋敷に帰ればいいのかすらわからない。
そんな弱音を柏原は許してはくれないだろう。




けれども私は完全には理解していなかった。


柏原は、厳しいけれども私を甘やかしてくれていることを


私がどれだけ貴方に甘やかされていたのかを
私は少しずつしか理解できなかった。