柏原はクスリと笑った。


「なによ!」


「その様なことをお考えでしたか……」


「……いいでしょ! 柏原は私に忠誠を誓ってくれてるでしょう?」




執事は立ち上がる。
ハンバーグから立ち上る湯気がふわりと揺れた。





「生憎。私の、人生を貴女にお売りする気はございません。
私の人生は私のものでございます。貴女は只……今の主人というだけであって、然りとわきまえていただきたい」


その丁寧だけど冷酷な声で、私の価値観を全て打ち砕く。




「ずっと、そのようにお一人で寂しく食事をされていてはいかがですか? 悲劇のヒロインでも演じていればいい」