『茉莉果へ
最愛の娘よ
素晴らしい演奏をありがとう
成長した姿、練習不足だけど美しいヴァイオリンの音色、堂々とした身のこなし
何をとっても私達自慢の娘だ。
カナダにある州立病院でコンサートをやることになりました。
しばらく留守にします。父と母より』
柏原からわたされた手紙にはそう書いてあった。
私はまたお留守番なのね。
頑張ったのに……
お母様、褒めてくれたじゃない……
「ご夕食は何がよろしいですか?」
「ハンバーグ……」
「かしこまりました」
柏原は何事にも動じずに、颯爽とキッチンへと消えていく。



