「お譲様、ドレス姿でいらっしゃるからお身体が冷えてしまっている」
柏原のジャケットが肩にかけられた。
「さあ、屋敷に戻りましょう」
車に乗り込むと滑るように発進する。
車内は暖かく、柏原の温もりが残るジャケットはさらに暖かい。
「ううっ……柏原」
泣けてきた。
恋愛なんて簡単なことだと思ってた。
イケメンみつけて、デートして、食事して
そんなの簡単なことだと思ってた。
柏原は無言で運転を続けた。
ジャケットがぐちゃぐちゃになるくらい、私はただ涙を流した。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…