待ってよ……


私、紫音茉莉果よ?


これじゃ私がフラれたみたいじゃないのよ





「待って! 待ってナツ! プロポーズは?」

「はぁぁぁあ?」


大きな溜め息が、イケメンフエイスを歪ませる。


「私の予定では、プロポーズされる予定だったんだけど」

「誰が?」

「ナツが」

「誰に?」

「私に……よかったら、言うだけ言ってみてから帰ってくれない?」


そうよ、こんなの理不尽だわ。

だから私にフラせてくれないかしら?



「あのなー? 茉莉果……悪いけどお嬢様のお遊びには付き合いきれない!」

「付き合ってよ!」

なんでわかってくれないのよ!


「違うヤツ見つけてくれ」

私はナツがいいの!
だって、すごくすごくカッコいいんだもの!

その顔が、大好きなのよ!


「何でもできるわよ。お父様にお願いすれば何でも手に入るわ。ナツが行きたい所とか、欲しいものとか何かない?」


口から出た言葉は、私が人との絆の繋ぎ止め方をお金で解決するやり方しか知らないことを証明した。


「オマエ……最低だな。もっとマシな女かと思ってたよ」