部屋にはいつの間にか大量の旅行バックが積み上げられていて、柏原が肩で呼吸を整えている。


中には何かガサゴソと動いているバックもあり、柏原の眉間の皺が深くなっていく。



お母様から、手渡された布を解いてみると中からでてきたのは、ツタンカーメンみたいな金ピカのお面だった。


「柏原これ、かぶってみて」

「いくら茉莉果様の頼みでも出来ません。申し訳ございません……何かの精神疾患にかかってしまいそうなので」


私は布を丁寧に巻きなおすと両親の旅行カバンにこっそり忍ばせ手を合わせた。

柏原の精神安定の為に安らかにお眠り下さい……



「お嬢様、外出のお支度をなさいましょうか?」


「そうね」