「ほら! だから、あなたっ♪」
「そうだった! これだ、ピラミッドの石」
父は白い布に丁寧に巻かれた十センチ四方の"ただの石"を私に手渡す。
「正真正銘のピラミッドの石だ! すごいだろ茉莉果!」
「ありがとう……お父様」
麗香の、クリスマスプレゼントにちょうどいいわね。
うん、そうしましょう。
「茉莉果にそっくりな蛇もいたんだけど、それも税関で没収されちゃったのよ。ごめんね茉莉果。普通の毒蛇より致死量十倍の毒があったのに」
「お母様……」
誰を殺害する気だったのかしら?
お母様は私の顔色をうかがうように心配そうな顔をした。
「それから……」
両親のお土産のセンスは、計り知れない未知数のセンスを秘めている。
旅から帰った二人に、いつもいつも翻弄される私だけど……これが二人の愛情表現なのだと信じてる。
「お父様、お母様」
二人は競い合うように、旅行カバンに首を突っ込み何かを探り当てていた。
付近には、"まともな"ブランドの服やアクセサリーにバックが散乱している。
先に、そっちを渡してくれたら素直に喜べるのだけど……でも
「二人に会えて、嬉しいわ」



