「あ、私のことも綾音って呼んでくれていいですよっ」



綾音は笑顔を向けるとまた色々と質問してきた。


「婚約者さんはどんな女性なんですか?」


「ん~、西条寺大学病院って知ってる?あそこの院長の娘」



西条寺大学病院と言えばこの辺りでは誰でも知っていて


その娘の澪もまた、たまに地元のTV番組などにも顔を出すこともある、ちょっとした有名人でもあった。



「あ、もしかして西条寺 澪さん?スゴい…有名なお嬢様じゃないですか!」


俺の結婚相手が澪と知り綾音は少し興奮したらしい。


笑顔が輝き声が少し高くなった。



「でも、絶対に北海道じゃなきゃ嫌なんて…西条寺さんてなんか噂通りの感じ」


クスクス綾音は笑った。



「噂?」


「あ、悪い噂じゃないですよ!わがままお嬢様なんだけど、すっごく美人でそれが魅力的に見えて許されてしまう人だって」



目立つ澪には昔からたくさんの噂が流れている。


それは澪の周りの取り巻きどもがばら蒔いたものだったり、ただのイメージだったり。


だけど大抵、噂なんて良いことは流れない。




わがままお嬢様が似合う女性…か。


確かに噂通りなんだけど…