俺はその時、どう行動するか。

やってきたのはホテル白熊の裏の職員用駐車場だった。


デカイ黒色の4WD車の後部座席に俺と綾音が乗り込むと、麻生さんはブロロンとエンジンをかける。


同時にヴァンパーが動き、フロントガラスに積もっていた分厚い雪がドサドサッと落ちた。


真っ暗な雪の駐車場をライトがパッと照らす。




「じゃあ相良様、本当に行って宜しいんですね?」


「え?はい、よろしくお願いします」


「かしこまりました」




麻生さんの合図に車は雪をギュウギュウと踏み鳴らしながらゆっくりと発進した。


後部座席に座る綾音は隣の俺の方へ顔を少し傾ける。



「悠人さん、ありがとうございます…本当は夜道で一人は怖かったです。悠人さんが付いてきてくれて、助かります」



「あはは、そんなに温泉好きなんだ?」



「はい、私温泉マニアなもので」




綾音を見ると暗い車内でも分かるほど瞳がキラキラ輝いていた。


本当に来たかったんだなぁ…


最初、秘湯と聞いた時には暗いし寒いし危ないしで内心マジで行くんかよと思ってたけど。



「悠人さん…一生の思い出にしますね」



嬉しそうな綾音を見ると俺も来て良かったなぁと心から思えた。