俺はその時、どう行動するか。

「あの~すみません…」



「これはこれは相良さまと長谷川さま。お揃いでどうかなされましたか?」




麻生さんは品の良い笑顔で俺と綾音を交互に見た。


…このじいさん、絶対に今なんか思ってるな。


俺は出来るだけ平常心を保ちながら麻生さんに訪ねる。



「あの…少し出掛けたいんですが送迎車を出していただく事って可能ですか?」



「ふむ、どちらまでですかな?」



「あ―…と、近くに地元の人しか知らない温泉があるって聞いたんですけど…」



「!」





俺の言葉に麻生さんは何かを合点したようにポンと手を叩いた。




「相良様!そういうことでしたらこの私が送迎致しましょう」



「え?」



「あの秘湯は良いですぞ。私も若い頃にはよく入りに行ったものです」




麻生さんは昔を懐かしむようにしみじみとそう言う。



「ほ、本当ですか?助かります」



俺はこのじいさんを嫌いになりそうだったけれど、やっぱり案外いい人なのかもしれない。