その時―――…






観光客たちの中に、一人きりで夜景を見つめる女性を見つけた。







ベージュ色の細身のコートに低めのヒール。


栗色の柔らかな髪。




後ろ姿だけれど、それは間違いなく綾音だった。









「綾音……!!」






俺の声に綾音はゆっくりと振り返った。