披露宴会場である洋館から外に出た俺は、何度も大きく深呼吸をした。



そうでもしないと息が出来なくなるくらい、胸が締め付けられて押し潰されそうだった。



白い息が現れては空に消えていく…。


真冬の秘境には真っ白な雪景色と澄んだ青空が広がっていた。



白い木立の中にはひっそりとたたずむ教会が見える。


俺は未だパニックになっているだろう結婚式の招待客たちを頭に浮かべた。





ここにはもう…

俺がいる訳にはいかないな。





「…………」


俺は教会に向かって静かに一礼するとそのまま一歩を踏み出そうとした。