薄暗いロッジに朝日が射し込む。



どこからかベーコンの焼ける香ばしい匂いがして、俺はベッドの中で体を起こす。




「…ん…綾音…？」


明け方まで隣にいたはずの綾音は、いつの間にかベッドから居なくなっていた。


ほとんど眠れなかった目を擦りながらロッジを見渡すと


キッチンですっかり身仕度の整った綾音が朝食の用意をしてくれていた。




「あ、悠人さん、おはようございます」


昨夜の悲しい笑顔ではなく、そこには出会ってすぐの頃のような明るい綾音の笑顔がある。



「ご飯食べます？シャワー浴びます？」


「…え？」


「多分、先にシャワーを浴びた方が良さそうですけど…」



綾音は、寝惚けたまま下のズボンだけ履いた俺の頭を指差して、クスクス笑う。


俺は頭にハテナを浮かべながら窓ガラスに映った自分を見た。


そこには髪がボサボサでいかにも間抜けな感じの男がいる。



「あ…」


ふ抜けた恥ずかしい姿をこれ以上見られたくない俺は、そのまま逃げるようにシャワーを浴びに行った。