光の射す方へ

私は兄の言葉を聞いた次の日の朝、早くから父の居場所を探していた。

何十年ぶりに祖母に電話をしたり、叔母の家に行ったりとその日の夕方にようやくたどり着いた。
飛行機、新幹線、電車、バス、タクシー…1日にこんなに乗り物を使い、移動するのは後にも先にもこれが最後であろう。

17年ぶりに会う父に私は土下座した。

『兄をお願いします!』

父は泣いていた。兄がこんなことになっていた事に失望の涙なのか私の必死さを見てビックリしたのかわからない。私はただただ頭を下げた。


父は了承してくれた。


その日はもう新幹線の終電がなく近所のホテルに泊まった。