不思議と震えがおさまってくる。

「じゃ、質問変えるよ。どうして俺にそんなこと告白したの」

「告白?」

告白と聞いて、どうしても男女間のことしか浮かばない。

「うん。だって内容的に、簡単に話せることじゃないでしょ」

「それは」

あなたなら傷つけてもいいかなって思ったなんて言えない。

「すこしは信用してくれてるって思ってもいいのかな」

「それも」

何て言えば納得させられるのか分かんない。

「じゃあ、なんとなく?」

「……」

ごまかせるような言葉が浮かばない。どうしよう。

言葉に詰まったまま黙っていると、「ま、いっか」といい、奥の部屋に行ってしまった。

「あ」

なんでか立ち上がって、いなくなった部屋の方に数歩進んでしまう。

追いかけようとした?あたし、今。

「なんで?」

奥の部屋に行ったものの、本当に人がそっちにいるのかと思えるほどに静か。

(なんか、一人でいるみたい)

静かすぎる部屋は嫌だ。

長いこと住んでたあの場所。そこで起きたこと。

いまだに首周りに、なにも巻けないあたし。心の傷。

味気ないご飯。触れられないママの心。

思い出したくなくても、容易に思い出せてしまう。

独りを思い出すのは嫌だ。知らず知らずに呼吸が早くなっていく。

「は……っ、はっ」

手をつき、四つん這いになる。

ダメ。苦しくて、自分を支えていられない。

「ママ……」

フラッと床に崩れ落ちそうになったその時、

「マナ!」

あたしを呼ぶ声と、たくましい腕。

酸欠になったあたしにかけられた言葉は、

「なぁんで、助けてって呼ばないの?……バカだよ、ホント」

袋で口と鼻を覆い、また呼吸する。

眩む頭で考えられたことは、やっぱりあたしはバカなの?なんてことだった。