気づくはずがない。

あたしは、そういう子。

ママがくれた一本のメールみたいな子だもの、ね?ママ。

あたしは不要。どこにも要らない子なんだもん。

 遡る、時。

いつものように嫌がらせの電話で寝不足の頭で、今日も復習をしてた。

外には子供の楽しげな声だってする。

ウトウトしながらの勉強は、ちっとも頭に入っていかない。

湯ざましを飲み、ゴロンと寝っ転がった時、あの曲が聴こえた。

ママのお気に入りの曲。

「あ…。メール、か」

短いその音に、電話で声を聞かずに済んだことにホッとしてた。

自分の母親なのに、そんなことを思う自分はどうなんだろうってどこかで思いながら携帯を開いた。

「……な、んで」

開いた携帯の中には、一行のメール、

目に飛び込んできたメールの内容は、目をそらしても、頭の中に張りついて離れない言葉。

『不要よ、マナ』

それだけだった。

絶句した。息が止まったようだった。

現実的には、とっくに不要にされてた。

再婚しても一緒に住むことを許されていない。

誰も知らない、あたしの新しい生活。

辛いだけの生活なのに、誰かに縋ることを選ばなかった。

それをすると、繋がりが切れるって思った。

親子なんだ、あたしたちは。

それを切ることはしたくない。親子のままでいたい。

そんな甘い考えはあたしだけの話で、ママの中であたしはとっくに……ってわかってた。

でも、わかってないフリをしたかったんだもん。

親子でいたかったんだ。

決まりきらないあたしとママの関係。

理解してる自分と、納得したくない自分がグルグル回り続ける。

そのタイミングでの、ママからのメールだった。

不要という二文字。

ゴミの扱い方と同じ言葉。

「消え……れって、こと?」

読んだ瞬間、手が震える。

日々削られていた体力と精神力も、あたしのこの先の行動を後押ししてる。

もう、疲れたって言いたくなった。

一人でこらえてきたんだ。だからあたしだけは許してあげようって決めた。

すべてを終わらせて、ママの願いを聞き入れてあげよう。

そうすることで自分も楽になれるって考えた。