夜。

「あ…もしもし?」

天神学生女子寮。

自室でアリスカは携帯を握り締める。

『えっ、あっ、アリスカさんっ?』

びっくりしたように声を上げるのは啓太。

今日も学園では一言も口をきかないままだった。

まさか電話がかかってくるとは思わなかったのだろう。

「ごめんね、突然電話して。忙しかった?」

いつになく控えめなアリスカに。

『え、全然!暇してました!』

啓太は裏返った声で答える。