髪に、やわらかな感触。

「先生。」

愛しい、声がした。

(愛…?)

暗闇の中顔をあげると、
そこには、愛しい人がいた。

(愛…!)

叫び出したくて、抱きしめたくて、
だけど体は動かないし声も出ない。

「泣かせて、しまった。」

君が、俺の頬に触れる。
涙が伝う頬を包み込む。

(…会いたかった。)

「私も。先生に会いたかった。」

愛の顔がぼやけて見えない。
だけど多分、悲しい顔をしている。

(もうどこにもいかないで。俺をおいていかないでくれ。寂しいんだ。悲しくてたまらない。君がいない世界なんて生きている意味がないんだ。)

溢れ出す思い。
ずっと伝えたかった気持ち。

だけど、


君はそっと首を横に振った。