監禁恋情

｢私、可愛い天使を見つけたわ！｣

今まで見せていたわざとらしい笑顔ではなく、素直な微笑みが、そこにはあった。

｢あら、誰のこと？｣

厚子が問うと、さくらは得意げに言った。

｢紀一先生よ。｣

厚子は、目を丸くして驚いた。
主治医の紀一を天使と呼ぶのは、せいぜいこの愛くらいだろう。
確かに、紀一は端正な顔立ちで、患者にも優しく、人気がある人物ではあったが。

｢先生は、優しくて美しくて悲しいわ。
それに弱くて切なくて図々しいの。｣

愛しそうに笑った。

｢私、彼の桜になることにしたの。｣

愛が言ったその言葉の意味が、厚子には理解出来なかった。