監禁恋情

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厚子にとって、愛はなかなか特殊な患者だった。

「厚子さん。」

彼女はいつも笑顔で厚子を呼んだ。
踊るような楽しげな表情。
歌うような美しい声で。
だけどその美しさの中に、誰よりも大きな狂気を隠していた。

「私ね、あなたが好きよ。
あなたはきっと私の中の醜い部分を見抜いてくれているから。」

愛は厚子にそう語った。
それは、愛と紀一が心を通わせる前の出来事、愛が入院してきて間もなくだった。

「あなたは人の心がわかるのね、愛ちゃん。」

厚子が尋ねると、愉快そうに笑った。

「わかるんじゃないわ。入ってくるのよ。気味が悪いでしょ?」

厚子は首を振った。

「…ありがとう、厚子さん。
あなたのその気持ちが嘘じゃないことはわかるわ。私を心配してはいるけど。」

愛は穏やかな笑顔で厚子の気持ちを言い当てた。
不思議な少女だった。
危うさと美しさを持っていた。

そんな愛がある日、嬉しそうに報告して来たときは驚いた。