監禁恋情

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その病院は、都市圏から少し離れた場所にある、小さな病院だった。

相馬が紀一を背負い、和樹がもう閉まっている病院ではなく、その裏手にある住宅のベルを鳴らした。

程なくして、中から女性が出てきた。
中年の、小柄だか優しそうな雰囲気の女性だった。

「まぁ…和樹…さん?」

女性は、口を押さえ、驚いた様子で和樹を見つめた。

「お久しぶりです。」

和樹がぺこりと頭を垂れた。

「まぁっ、こんな時間にどうしたのですか…っ。」

「夜分申し訳ありません。実は…相馬さん。」

和樹が、相馬を呼び、女性はしばらく不思議そうに見つめたあと、目を見開いた。

「!先生っ!」

さくらも同時に驚いた。
どうやら彼女は紀一の医師時代の知り合いらしい。

「随分と体が弱ってしまっています。
ご主人に診て頂ければと思いまして。」

「…わかりました。すぐに、呼んできます。」

さくらは二人のやりとりをただじっと黙って見つめることしかできなかった。