†††††††††††††

「しかし、旦那様に無許可であなた方を外出させるわけには…」

和樹が腕組みをして考え込む。

さくらはそれを見て、か細い声で

「お願いします…」

と頼んだ。

さくらは、和樹に紀一を病院へ連れて行きたいと頼んだのだ。

さくらはあの紀一の兄である冷酷な印象の男を頼るよりも、和樹を頼るほうがいいと判断した。

さくらにとって、和樹はただ一つの希望でもあった。

懇願するさくらの表情を見て、和樹はふぅとため息をついた。

「…病院…
…ちょうどいいかもしれませんね。」

「ぇ…?」

さくらが、和樹の謎めいた言葉に首を傾げる。

「ぃえ、あなたも怪我をなさってますし、ちょうどいいかもと思いまして。」

にこりと笑って、痛々しい状態のさくらの素足を指差す。

「かっ、和樹様!いいんですか?
そんな勝手に…」

見張りの男が、声をあげた。