目の前に天使がいる。

天使が泣いている。
俺を迎えに来たのか?

なんでだろう、心が苦しい。

寂しい。

辛い。

悲しい。

俺は何かを思い出して、
何かを忘れている。

愛と俺が愛した、この世界のように。

君は美しくて、儚いから。

守らなければ。

「お願い…」

天使が涙を流しながら、俺に言う。

「…一人にしないで…。」

天使が、こんな風に泣くのを見たことがない。
子供みたいに、バカみたいに。
俺に縋っている。

ああ…愛…


《ねぇ、それでもあなたは…》



君の声が、聞こえる。
ああ…そうだった。







俺は、天使に口づけた。