だけど、ふと寂しさがよぎった。

私の隣に、彼がいない。
春になれば一緒に桜を見ようと
約束したのに。

私は、窓辺にそっと、腰を下ろした。

このまま、迎えに来てもらえなかったら…
不安な気持ちになって、膝を抱えた。

だけど、きっと来てくれる。
約束したもの。

「…紀一さん…」

呟きが、風にかき消されて、
虚しく響いた。








「さくら。」