「誰かいるのか?」


恐る恐る振り返ると、男の人が立っていた。


「ちぇっ。俺だけの場所だったのに。
邪魔するとは最低だな。」


「あなた、誰?」


「柊。てか、聞く前に自分が名乗れよ。」

「あ、美樹。桜井美樹。」

「美樹ちゃんはどうしてそこにいるのかな?」


不機嫌そうに眉を寄せ、彼も腰を落とした。


「きっと、同じ理由だよ。あなたがここに
来た理由と。」


「あっそう。てか、柊だって。
あなたじゃなくて柊って呼べ。」



そう言ったあと、柊は
ただじっと空を見上げた。

そんな柊の横顔は少し悲しげで
今にも倒れてしまいそうだった。







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ねぇ、柊?
この時の私がしたことは
間違いだったのかな?
もし、違う道を選んでいたら
二度と会うこともなかったのかな?

でもね。後悔はしてないんだよ。






この出会いが私の全てになるなんて。

この時は何も知らずにいた。