全てを話終えた柊さんが、釘を刺すように、「隼人を責めるな。」と呟いた。
優香は私の手を握り、涙を流した。
松さんは腰を落とし、何も言わずただうつむいているだけだった。
「私は、隼人さんを恨んでなんかいないですよ。怖かったのは確かです。
だけど…隼人さん、きっと悩んでるんです。傷ついてるんですよ。
私だって、大好きな人に裏切られたら、おかしくなっちゃいます。」
誰も何も言わなかった。
それから数十分が経ち、松さんが腰を上げた。
「そろそろ、チェックアウトの時間だな。帰る用意しよっか。」
笑顔で言う松さんに、私達も荷物をまとめて車に乗り込んだ。
「帰りは、俺が運転するよ。」
「悪いな、柊。」
しばらく車内でしばらく沈黙が続き、柊さんが音楽をかけた。
(あ…あの時の…)
「〜♪こんなにも誰かを愛しく思うなんて〜
傷ついても〜傷ついても〜
それでも〜私には君しかいなくて〜♪」
優香がふと口ずさんで、松さんが優香の歌声を褒めて、柊さんと私は、そんな2人を笑って見ていた。
それから沈黙はなくなり、車内の空気が明るくなった。
