春がすぎ、すっかり気温も上がり
授業中に下敷きを団扇変わりにする子達が増えた。
「そのあと、この化学組織はどうなるでしょう。
山本君、答えて。」
私が通う高校には、クーラーがなく
唯一、職員室と図書室にだけは着いている。
こんなんじゃ、夏バテで貧血起こして倒れる
人が、いるに決まっ…「バタンっ!」
「山本君!大丈夫?!山本君!しっかりして!」
真面目で無愛想で、クラスでは少し浮いている
山本君が本当に倒れてしまった。
「保険委員の桜井さん!山本君を保健室まで
運んでくれないかしら。これじゃ、授業にならないわ。」
冷たい人で有名な化学の先生は
山本君よりも授業が大事らしい。
