車に戻ると、松さんが運転席に座っていた。
「松さん!優香と柊さんは?」
「それが、途中までは一緒だったんだけど…急に2人がいなくなって、とりあえず車に戻れば帰ってくるかなって。」
「そうなんですか…。」
もしかして…柊さん、気持ち伝えようとして、優香を…
「…ん!美樹ちゃん!」
「え…どうしたんですか?松さん。」
「こっちの台詞だよ!なんで泣いてるの??どっか痛い?」
「泣いてる?私が?」
頬に手を当てると、松さんの言うとおり、涙がこぼれていた。
「美樹ちゃん、大丈夫?とりあえず、
車にいな!!俺が居てやるから。」
そう言って、隼人さんは私の隣に座って手を握ってくれていた。
(なんで泣いてんだろう。意味がわからない。)
優香がいないからだ。
心配で泣いてるんだ…
私はそう、自分に言い聞かせていた。
その数分経った後に、柊さんと優香が楽しそうに戻ってきた。
「おい!何してんだよ!急にいなくなりやがって…」
「悪い、悪い。はぐれちまって。」
「って、美樹!!どうしたの?
なんかあった??」
「え…いや、なんもないよ!!」
「おい!隼人、お前もう美樹ちゃんに手ェ出してるじゃねぇか!」
「なんもしてねぇよ。手、繋いでるだけだ。」
「ちょ…隼人君!!美樹になんかしたの?」
「まだなんもしてねぇっ!」
「まだってなによ!!」
「ともかく、早く車乗れ!!
旅館戻るぞ!!」
旅館に着いて、そのまま隣の施設へ移動した。
「へぇ。炭からキッドから、何でも揃ってるんだな。」
15個位のテーブルがあり、
外には真ん中が空いている木の四角い椅子が、8個縦一例に並んでいた。
「受付はこちらでお願いします!」
「俺たち、受付してくるから、
それ運んでてくれない?!」
柊さんが、優香を連れて受付場所へと向かった。
「柊のやつ…さっきから優香ちゃんにべったりぢゃねぇか。松、いいのか?」
「俺は別に…みんなが仲良くなれるんならそれでいい。」
「え?松さん、優香のこと…」
「あ、気付かなかった?こいつ、優香ちゃんに一目惚れしたんだよ!!
美樹ちゃんらの入学式の日に。」
「おい!」
「いいじゃねえか!美樹ちゃんに、手伝ってもらえばいいんだよ!」
「俺は別に…」
「好きならはっきりしねぇと、誰かにとられるぞ!!」
そっか…じゃ、両思いじゃん!
え!嬉しい!!
あんな、照れた優香見たことなかったし…自分のことのように嬉しい!!
「なんか美樹ちゃん、口元にやついてるけど…」
「あ、すいません!!
荷物、運んじゃいましょ♪♪」
私は優香に言いたくて言いたくて、
うずうずしながら、荷物を運んだ。
