これが私の幸せなんだ。




「山本君…今日ね?いつものように
和也君の家に行ったら若いお姉さんがいたの。
あの人って、山本君のお姉さん?」


先ほどまで笑っていた山本君の顔が
一気に血の気が引くように、真っ青になった。





「あいつ…まだ居たのか。」

「あいつ?」



それからしばらくして、
山本君は口を開いた。


「桜井さんが朝会った女は、
親父の浮気相手だったやつだよ。」

「え?…」



「俺らの母さんは、俺が
小学生の時に事故で亡くなったんだ。
けど、親父は俺らが苦労しないように
一生懸命俺らを育ててくれた。
だから、俺も辛かったけど寂しくはなかったんだ。

だけど…俺が中学生に上がった時に
家に帰ると知らない女がいたんだ。
初めは、親父の友達だと思ってたけど、
だんだん荷物が増えていき、
母さんが使っていたタンスにその女の
衣類がぎっしり詰まっていった。」