「あぁ、これ…あんたの犬?」 ずぶ濡れの男が コートを犬にかけていた。 「あ、いや、はい。」 女はその男の異様な様に 支離滅裂な言葉を発するばかりであった。 「あーそっか。 お前独りじゃなかったんだな。 良かったな…ワインレッド。」 「ワインレッド…?」 「あぁ、悪い。 野良犬だと思って名前つけちまったよ。」 男は照れた笑いを浮かべていた。