円窓から、室内に風が流れ込み肌にそっと優しく触れる。


 草の靡く(なび)音が、かすかに聞こえる。


「兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察すべからず。その無備を攻め、その不意に出ず。多算なれば勝ち、勝算なれば勝たず」


 十四歳の一の姫、弥夜(やよ)は、王族に必要な兵法を全て完璧に答えた。


それには、講師も感心する。


「弥夜様は、大変覚えがよろしゅう御座いますな」


 弥夜は、微笑みながら深くお辞儀をした。


「恐れ入ります」