冴は、自室に戻り、荒々しく座布団に座る。腕を組み、眼を閉じた。先程の事を考えた。


 ……何だ、あの姫は。


 無礼な振る舞いをしたのに咎める事もなく、挙句の果て、王になると
 誓うと言い出した李梗を奇異な姫だと思った。


 それから、数日後。


「おい、聞いたか。王様が、李梗様に従者をお付けしたそうだ」


「ああ、そうらしいな。なにしろ、その従者は背丈が随分大きいそうだ」

 
 冴の噂は、王城内で広まった。やがて、あの方の耳にも届いた。


「何? 李梗に従者が。父上様に会わせよ」


 なにやら、腑に落ちなかった。その真相を確かめる為にも王の室に行った。


 王の室が遠く感じる。足に重石が付いているようだ。



 やっと王の室の前に着いた。ふっと、息を吐きながら着物を整えた。