李梗は、真っ直ぐ冴を見た。その眼を見た冴は、身体に電気が走た
かのように動けなかった。
これが、王族というものだろうか……。
……いや、そんなはずが無い。
冴は、我に返り、李梗に突き刺すように言った。
「なら、俺は、あんたを王にするよう補佐する」
冴は、正直この姫の言う事なんか当てにしてなどいなかった。
王族など嘘偽りだらけで、己の名誉なら他人を切り捨てる生き物
だと思っていた。
「冴……。ありがとう」
「勘違いしないで下さい。あんたの為じゃない。どうせ、今の王は兄上の
事なんか気にかけもしない。あんたが、王になって、兄上を供養しろ」
そう吐き捨てると冴は、先に行ってしまった。その、後姿を見つめながら、李梗は呟いた。
「約束する」
