頭の中で何度も冴は連想した。
「………」
李梗は、姫なのにこの国のことを何も知らなかった。知ろうとも思わ
なかった。
自分が幸せなのは、多くの命が喪われる代償となっていること知った。
やるせない思いのまま、李梗は、冴の側により手をとった。
「あなたがこの国を滅ぼしたいのなら、私が王になってこの国を変えてみ
せる」
「はっ? この国が簡単に変わるとは思いませんが……。運命はそんな
に変わらない」
冴は、その手を荒々しく振り払った。
それでも、李梗は構わず話しかけた。
「それは、あなたが決めるものではない。運命が決める」
