いつも援護してくれ、たった一人の身寄りでもあった。それを喪った悲しみは胸が張り裂けそうな痛みであった。その怒りの矛先を全て李梗に突き付けた。


 冴の拳は徐々に震えてきた。


 無表情だったのではない。その眼は、どこか冷めているようだが憎しみを抱えている眼であった。


 冴は、ずっと憮然していた。幼い冴は孤独と耐えてきたのだ。


 ……憎い憎い。こんな国、さっさと滅ぼされればいい。