眼は切れ長で、鼻梁が高く顔が整っている。
廊下を歩いている時に聞こえるのは二人の足音しか聞こえない。李梗は、冴をちらりと見た。
冴は、顔色ひとつ変えず前を見ていた。どこか掴み所がない男である。
二人の間の空気が重苦しい。その空気に耐えかね、李梗は話しかけた。
「この王城はとても美しいでしょう。池もあって綺麗よ。きっと、貴方も気に入ると思う」
冴は、少し間を空けたが、受け答えた。
「そうですね。姫様は、この国はお好きですか?」
いきなり、何を言うのだろう。この国の姫なのだから好きなのは当然だ。
「もちろん、好きよ!」
李梗は、何の曇りも無い笑顔で答えた。
