当時では見かけない斜め前髪で、後頭部より低い位置に髪を一つに束ねている。
長さは、束ねても肩についてなかった。少年の身長は五尺七寸(約百七十二センチ)あるだろうか。
……この者が、私の従者。
その背丈は、無意識に少年を見上げてしまった。
「冴(さえ)と申します。今日より姫様のお側近く仕えさせていただきます」
少年は、李梗の元へ歩み深く頭を下げた。慎み深い雰囲気を漂わせる。
「冴、これよりお前の主は、李梗だ。我が、娘を恃む」
王は、冴に威圧するように言った。
「御意」
冴は、王の威圧に何も感じなかったのか、気魄な様子で返事をした。
王の室を退室し、二人は李梗の室に向かった。
冴は、李梗より三つ歳が上だった。冴は、実年齢より年上に見えた。
