お姫様だっこ




あたしは使われていない空き教室に入った。


「あんた浮気すんの?」


あたしの言葉に俊は目を見開いて固まってる。

でも次の瞬間、俊の口からため息が漏れる。


「あのさ、菜帆が勘違いしてるだけなんだけど」

「え?だって、女からの誘いに乗ったんでしょ?」


俊は眉間にシワを寄せて話を続ける。

「そうだけどー、次のメールでちゃんと、"菜帆も一緒ならな"って付け加えてたんだよ。それ見ずに菜帆キレて走って行くしさ。」


はぁぁあ??


「でもさっき女と楽しそうにしてたじゃん」


「はぁ?あれは、俺が1人で居たら女が勝手に来たんだよ。アイツは告ってきた女じゃねぇよ」




「はぁ…。」

今度はあたしのため息が漏れる。

紛らわしいなぁー。
菜帆の勘違いかよぉ。



俊を睨んでみる。

「反省してるの?」



「はい、してます。もう軽々しく女とメールしねぇよ。言っとくけど俺はまじで友達としてメール返してただけだぞ?そしたらいきなり告って来てさ、ちゃんと振ったからな?」


俊は真面目な顔であたしに言ってくる。


だからあたしは信じる事にした。


「その言葉、菜帆に伝えなよ。ちゃんと2人で話し合いなよ?」



「うん。ありがとな、美優。菜帆にさ、すぐ此処に来るように伝えてくんね?」


「了解♪」


人騒がせな2人。





菜帆も馬鹿だなぁ。