お姫様だっこ




「菜帆ー。いい加減機嫌直しな?」


さっき菜帆が教室に戻ってきた。
でも俊と喧嘩したままでさっきからご機嫌ななめ。



「ふんっ。自慢気に話してた俊が悪いんだもん。不安になる菜帆の気持ちなんて知らないんだ、きっと。重い女になりたくないから平気なフリしてただけなのに」


「でもさぁ、菜帆だっていっぱい告られてるじゃん?俊だって実は心配してるのかもよ?」


あたしは菜帆を必死になだめる。


「…うん。でもね?俊は告られる前にその女といっぱいメールしてたんだ。俊は友達としてメールしただけって言ってたけど…やっぱ向こうは期待しちゃうでしょ?」


「うん。そうだね」


菜帆が泣きそうだ。



「しかもその女と毎日メールしてたの」

「そんなに怪しい内容だったの?」


「ちょっとだけ見たんだけどね、"今度遊ぼう"って入ってて俊は"いいよ"って返してんの!それ見た瞬間、俊に携帯投げつけてやった」


「まじ?それはダメだよね」


あたしはイラついて立ち上がった。

「俊の所行ってくる」


「えっ?美優行くの?」

「うん。菜帆は此処で待ってなさい」

「はい…」