小さな恋のうた *毎日更新中*

職員室に戻り、引き出しから早川からもらった袋を出す。


レモン色したマドレーヌが2個。


きれいに包装されて入っている。


2個か…。


よしっ!!


部活の準備をして、グランドに急いだ。


大樹がストレッチしている横にしゃがんだ。


『おつかれ』


『おつかれッス』


『大樹、これ』


不思議そうな顔をしている大樹に早川のマドレーヌを渡す。


『早川からもらったから、ひとつやる』


『はぁ???』


グランド中に響くような声を大樹が出した。


『どういうこと?』


『昨日のラーメンのお礼って。ふたつ入ってたから、ひとつはおまえにやる』


正直に話す方がいいと思った。


『いらねぇ』


大樹が立ち上がった。


またジェラシーか。


『あのな、大樹…』


『先生がもらったんだから、先生が食べればいい』


『そう言うなって』


背中を向けた大樹を追いかける。


言わない方がよかったか…。