小さな恋のうた *毎日更新中*

『おはよう』


『おはよう~っす』


次の日、大樹はご機嫌だった。


分かりやすいやつだ。


『先生、早川が好きな本知ってる?』


絵本だろ?と言いかけたけど、盗み聞きしていたみたいでやめた。


『知らない』


『だろうな。教えないけど、むっちゃ早川らしい』


大樹が得意げに笑った。


オレも高校生のときはこんなだったのか。


『そういえば、ちゃんと昨日は送ったか?』


『もちろん』


『何の話したんだ?』


『早川の好きな本と好きな食べ物と野球のことと先生のこと』


『オレのこと?』


何の話をしたんだか。


『早川が先生のこと好きだって言ってたよ。って言っても勘違いすんなよ。教師としてだからな』


当たり前だ。


誰が勘違いするか。


『でも、すっげージェラシー。早川も先生のこと好き?って聞いたら、恥ずかしそうに頷いたから。先生として好きなのは分かるけど、オレ、まだ好きって言われてないし』


大樹の言葉に笑いが出る。


『あ、今、鼻で笑っただろう?』


『悪い悪い。おまえがそんなに純粋とは知らなかったから』


『誰にも言うなよ。茂たちも絶対笑うから』