その日の夜、早速私はその提案をハルキに伝えようと電話を手にした。 時計は夜の10時を示している。 何度目かのコールの後、ハルキの声が聞こえてくる。 「もしもし?真子から電話って珍しいな」 少し弾んだ声に私も嬉しくなる。 「うん、ちょっとね」 「何だよ。俺の声聞きたくなったのか?」 サラッとこういうこと言っちゃうハルキは勝気だけど、そこも好きなんだ。 「それもあるけど……」 素直にそう言うと、電話口でハルキがフッと笑ったのがわかった。