「で、でも、決まったわけじゃないし!」 奈菜が両手を振って、慌てて取り繕う。 「うん、そうだよね……」 私は力無く笑うと、涙がこぼれそうになるのを堪えた。 「ごめんね、真子……変なこと言っちゃって」 奈菜も泣きそうな顔になる。 かぶりを振って、大丈夫ということを伝えた。 「電話してみなよ」 私の手を取って、奈菜が力強く言ってくれた。