私達はしばらく抱き合っていた。 ここが人目のあるバーだということも忘れて。 でも幸い、お客はまばらで私達を気に留めている人はいないようだった。 浩介さんを除いて……。 「カップル誕生かぁ。おめでとう!」 明るい声にハルキは怪訝な顔をする。 「うっせ」 でも、そう言ったハルキの顔は少し優しかった。 その顔を少しでも私がさせているんだと思うと凄く心が温かくなった。