「……なんだよ、その笑いは」
「べっつにー。そうだよな、英語の講習なら、理系も文系も関係ないもんなー」
「……はぁ?」

一瞬、間が空いたことに新藤たちが気付かないことを祈る。

そう。開講されている科目のうち、俺が取っている科目は、英語だけだった。理系クラスの俺は古典を取る必要はないし、数学はそこそこいい点数を取れてる。社会・理科系は夏休みは開講しないらしい。
そうなると、必然的に取ろうと思える科目が英語だけになった、というだけの話なのだが。
(理系も文系も関係ないってことが多少関係はしてるけど)
 呆れた風を装って聞き返すと、俺が何で急に講習を受ける気になったのかを、仁志が勝手に解説し始める。

「だって、2年になって俺らのクラスって男子だけになっただろ? それに対して、文系のクラスには女子だけのクラスがある。文系の子たちが数学なんて科目取るわけないし、逆に俺らが古典なんか受けるものおかしいし。でも、英語なら文系の子たちも来る。だから出会いを求める雅哉は講習を受ける気になった、ってことじゃないの?」

(……当たらずとも遠からず、ってとこだな)

微妙に、的外れな意見に余裕を取り戻すと、俺は反撃に出ることにした。

「ってことは、新藤たちはそういう理由なわけ?」

2人の真似をしてニヤリと聞き返すと、さっきのからかいの空気はどこへやら。
視線を避けると、2人は同時にふーっと大きなため息をついた。

「…………おまえって嫌な奴」
「そうだよ。俺らが今回の試験ボロボロだったの知ってるくせに」