「えっと、先生、ですか?」
「はい、養護教諭の丸山と言います。あなたは2-Bの相澤咲樹さんですね」
「どうして名前なんて知ってるんですか?養護教諭なんて保健室に来る人しか名前なんて知ることないじゃないですか」
本当になぜわたしの名前知ってんの。丸山先生に会ったのは今日で初めてだ。
「ああ、それは養護教諭であっても学校の先生には変わりありません。全生徒の名前や顔は覚えておくべきだと僕は思いますので相澤さんのことも知っていますよ」
…何だか熱心な先生だ。
わたしはそんな事は出来ないよ。だってわたしは好きな人を見るだけで精一杯だもの。
丸山先生みたいに好きな人にもわたしにも目を向けて欲しい。


