すると、熊は振り返って笑顔を作って、

「どう致しまして。」

と、言ってくれた。

「私…、何にも出来ないんだけど…、お礼に歌わせて下さい。」

と、私も笑顔で言うと、

熊はいきなり笑顔を無くし、身震いを一つしてから、

「さっき、聴こえたけど…遠慮しておく…。気持ちだけ貰っておく…。じゃ、気をつけてな。」

と、来た道を猛ダッシュで駆けて行った。

その場にポツンと残された私は冷静に熊の言葉を分析した…。
その結果…。

「ちょっと…、私の歌を聴いた事があって遠慮するって…、私の歌が酷いって事!?失礼なぁ!!」

と、私は腹を立てたのでした。