「アリス、ピンクの大きな花には近づいてはダメよ…って遅かったわね…。」

と、お母さんヤギの虚しい声が遠くで聞こえる…。

今の私は…。
首から上をいきなり閉じた花に覆われてしまっているのだ…。

「ふぁい…おふぉいれふ…。」

と、私の声は花の中でこもった声になっていた。

私は閉じている花びらを1枚1枚めくっていき、ようやく脱出したのだが…。

「なんか…ベトベトする…。」

と、私が顔を触りながら言うと、

「消化液だから、それ。まあ、それぐらいなら大丈夫だと思うけど、小川で洗ってきなさい…。この薮の奥にあるから。」

と、指差しながら、お母さんヤギに涼しげに言われてしまった。