「あたしたち、人の恋を楽しんでない?」

あたしが言った。
桃実は頬杖をついたまま、考え始めた。
怜雨は俯き、なんともいえない不快な顔をした。
そんな中、あたしは話している。
こっちだって不快感を覚える。
でもこれは、怜雨には大事なことなんじゃない?
というか、あたしたちがこんな気持ちじゃぁやっていけないよ。

「それで、今回怜雨が好きな人ができたじゃない?」

「うん。」

2人は同時にうなずいた。

「だから、怜雨の恋を楽しんでたりとかしたら、怜雨自身だってすごく不快感を持つと思うんだよね。あたしはそんなのいやだから。
怜雨には、純粋に幸せになってほしいの。
だから、応援してあげたいの。分かってくれる?怜雨、桃実。」


あたしは一生懸命に説明した。
怜雨と桃実は反省したようにまた俯いた。


夕焼けがあたしたちを照らす。
青春色、なんてばかばかしいかな。
あたしはその色に火照って、頬杖をついた。
黙ったままの2人はそのまま動かない。
あたしはそんな中を抜け出そうと、
速やかに席を立った。