スターレディ物語

「ありがとうございます」


素はペコリと頭を下げて、お重に入っているおにぎりを食べた。


「うまっ!」


「良かった。お口に合うみたいですね」


男性は二段目のオカズも勧め、水筒からお味噌汁まで入れた。


素はどこか懐かしい、父親が作ってくれたお弁当を思い出しながら、お腹と胸が一杯になった。


食べ終わる頃、リムジンバスは空港に到着していた。


「あ、あの!急ぐので、これを」


素は事務所から渡されている、AQUASの名刺(素の名前入り)を手渡した。


「お礼したいので」


男性はニッコリ笑い、受け取った。


「必ずご連絡します。よい旅を」


男性は、何事もなかったかのように、空港に歩いて行った。


「さ、行きましょ」